今回は会館、本堂の屋根工事、副住職のご自宅、築地塀、そして書院、庫裡の工事と長い間お世話になりました浄運寺さまを訪問させていただきました。
檜の香りに包まれて
庫裡の玄関を入ると、まず檜の香りに包まれました。まるで森林浴をしているようです。躯体はRCですが、内装は全て木曽檜を使用しています。正面には竹細工。広々とした玄関ホールに一層奥行きを持たせます。
1cmに満たないピースの集合体
細部までこだわり抜かれた内装、何より圧倒されたのは組子の障子です。鳥肌が立ちました。この細工の見事さは、言葉にはできません。1㎝に満たない程のピースを組み立てて作られています。写真でしか御覧いただけないのが残念でなりません。
ご住職はこの工事のため既存の庫裡が取り壊れた時、寂しさと、不安に苛まれたそうです。40年を過ごし、愛着を持ったものがなくなる。新しいものができるのはいいが、どんなものになるかと。
職人さん達の仕事ぶりは、「異体同心」
しかし工事が進むにつれ、ある言葉が浮かんだそうです。「異体同心」これは日蓮大聖人の教えで、体は別々だけど心は一つ、という意味です。職人さんたちの働きぶりはまさにこの言葉どおり。見事に統制が取れ、一つのものを大勢で作り上げる。
そうして作られるものは、悪い物であるはずがない。それでもやはり、完成まで3ヶ月と迫ったころ、期待と不安で現場に足を踏み入れる事ができなかったそうです。長い時を過ごしたものを壊し、新たに作る。建設業というものの重みを改めて思いました。